「プラズマ〇〇」や「ナノイー〇〇」、「〇〇イオン」がインフルエンザを除去する!?

最近、よくCMなどで「プラズマ〇〇」や「ナノイー〇〇」、「〇〇イオン」などといった空気清浄機が大手家電メーカーから発売されているのを目にしますよね。
これらの空気清浄機は空中を浮遊している細菌やウイルスを殺菌できることを売りに販売されているようです。
僕の身の回りでも、公共交通機関や宿泊施設、飲食店や医療機関など様々な場所で見かけることが多く、私たちの暮らしの中に広く浸透している家電製品… といった印象です。

しかし、これらの空気清浄機が本当にインフルエンザを含むウイルスや細菌の殺菌に効果があるのでしょうか?

もし本当であれば、あの厄介なインフルエンザに感染する人が激減するでしょうから、私たちを守ってくれる素晴らしい発明品なのですが…

空気清浄機は本当に私たちをインフルエンザから守ってくれるのか!?

先日、検査室にあった感染症学の雑誌を読んでいたところ、ある記事に目が釘付けになりました。
それは…

細菌やウイルスの殺菌を謳う空気清浄機に果たして本当にその能力があるのかを検証する実験の記事で、ある国立病院でウイルスの研究をされている先生の論文だったのです。

その先生がなぜこのような実験を行ったかと言えば…

空気清浄機を販売しているメーカーは、空気清浄機が「プラズマクラスターイオン」や「ナノイー粒子」などの特殊物質を放出することによりウイルスや細菌を殺菌する効果がある、と宣伝し販売していますが、本当にその効果があるのか?あるいは無いのか?
いまだ第三者による検証がほとんど行われていないことに端を発したようです。

実験の方法としまして

通常、私たちが生活するにしてもやや狭いと感じる3畳ほどの空間、それとは別に、きわめて狭い空間(容積0.2?=200?)において、ある4種類の細菌が空気清浄機を使用した環境下において殺菌されるのかどうかを調べる実験です。

結果は…

これらの空気清浄機は、きわめて狭い空間(容積0.2?)において、ある種の細菌にだけ、ある程度の殺菌効果は得られたそうですが、畳3畳ほどの空間においては、ほとんど殺菌効果が得られなかった… というものだったのです。

しかも…

きわめて狭い空間(容積0.2?)において、ある程度の殺菌効果を発揮したのは、「プラズマクラスターイオン」や「ナノイー粒子」などの特殊物質ではなく、それらの機械が同時に発生している「オゾン」による効果である… という結論に達したのです。

「オゾン」とはこのような電気製品で発生し、酸化還元反応で匂い分子を破壊、場合によっては殺菌あるいはウイルスの不活化(病原性をなくす)作用をもたらすものとして既によく知られている物質です。
自然界においても空気中に自然に存在、有害な紫外線から私たちを守ってくれたり、空気を脱臭や殺菌してくれる物質です。
「プラズマクラスター」とか「ナノイー粒子」などなど、なにやら難しそうな言葉が出てくると、なんとなく何か効果があるんだろう… と思い込んでしまうのは僕たちの悪いクセですよね。

今後も、言葉の持つイメージだけで判断することなく、臨床検査技師として、しっかりとした根拠に基づく判断をしていこうと思います!!