現在主流のインフルエンザ検査「迅速診断法」

インフルエンザの検査として、ほとんどの病院で行われているのが「迅速診断法」という方法です。
この迅速診断法は、とても簡単に、しかも、素早くインフルエンザに罹っているかどうかを判定できることが何よりものメリットです。

僕の勤務している病院でも、やはりこの迅速診断法でインフルエンザの検査を行っています。
検査に使われるのは、患者様の鼻から採取した「鼻腔(びくう)拭い液」やノドから採取した「咽頭(いんとう)拭い液」、あるいは「鼻汁(鼻水のこと)」といわれるものを使うのですが、それぞれ採取部位によって採取の仕方が違います。

  • 「鼻腔拭い液」
  • 「鼻腔吸引液」
  • 「咽頭拭い液」
  • 「鼻汁鼻かみ液」

これらの採取法のうち、通常行われるのは、細い綿棒を鼻腔(鼻の奥深く)まで挿入し、粘膜面の細胞や分泌物を擦って採取し検査を行う「鼻腔拭い液」を使う方法ですが、この鼻腔を擦られるのがとても痛く感じる方や、恐怖心をいだく方もいらっしゃるため、「この検査が苦手!」なんて言われる方もたくさんいるのは事実です。
特に小さなお子さんは、嫌がって大泣きすることもしばしば。

そういう方には、喉の奥の方に綿棒を入れ擦って採取する「咽頭拭い液」や、鼻かみによってでた鼻汁をつかって検査する「鼻汁鼻かみ液」で検査を行うことがありますが、、、

なんと言っても、インフルエンザウイルスを一番検出できるのは、「鼻腔拭い液」を使った方法なのです。

正確な方法を望むか…
はたまた 痛くない方法を望むか…
究極の選択!?といったところでしょうか。

そんな「迅速診断法」にも弱点が…

前述の通り、

  1. 「鼻腔をぬぐう際に痛い」というデメリットの他に、
  2. ある程度のインフルエンザウイルス量が存在していないと検出できない
  3. 測定者によって違う判定が出る

という弱点も存在します。

2.に関し、インフルエンザの主症状の一つでもある発熱が起き間もない頃には、結果が正しく出ない可能性があります。
具体的には、発熱後7~12時間程度の時間が経過しなくてはウイルスが検出できないと言われているのです。
これは、インフルエンザウイルスが人の体内に入ると増殖を始めるのですが、「迅速診断法で検出できるウイルス量に達するまでにそれ位の時間を要する…」ということなのです。

3.に関しては、陰性か陽性かの判断を人の目視によって行うため、測定者によって違う判定が出る可能性(誤差)もあり得る、ということ。

迅速診断法の今後のさらなるメリットは?

この迅速診断法は、以前は検体採取から結果が出るまでの時間が、15~30分程かかっていました。
しかし、最新の検査キットでは、早くて30秒、遅くても8分以内に結果が出せるようにまで進歩してきています!

また、発熱後わずか3時間経過すれば検出できるものも登場してきており、以前よりも早く治療を開始することができるようになっています。

さあ、最新の検査法について、別の章で一緒に勉強していきましょう!