牛パラインフルエンザ

牛インフルエンザは、正式には牛パラインフルエンザといって、年間を通して牛の間に発生する感染症です。
日本を含めて世界各国で発生し、特に牛の長距離輸送や放牧の際に多発します。
鼻汁や咳などの飛沫で他の牛に感染し、発熱、呼吸器症状、食欲低下、乳房炎などを起こします。
重症化すると肺炎を起こしたり、妊娠中の牛の場合は、まれに流産することもあります。

 

このように、酪農家や牧場にとっては心配な病気ですが、牛から牛へ感染するインフルエンザであり、日本では現在まで牛からヒトへの感染例は報告されていません。
対策としては、有効性の高い混合ワクチンの予防接種や、二次感染を防ぐための抗生物質の投与が行われています。

 

牛といえば、牛肉をはじめ、牛乳やバター、チーズ、ヨーグルトなどの食品は、私たちの食事に欠かせません。
「子供が好きな乳製品は大丈夫かしら?」と気になる方もいるかもしれませんが、食品安全委員会では「ワクチンが適切に使用される限りにおいて、ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる」という見解を出しています。
また、「観光牧場などで子供が牛とふれあっても大丈夫?」と気になる方も、適切に飼育されている牛と通常の接触をする分には心配ありません。

 

ここまで鳥、豚、馬、牛のケースを見てきましたが、犬や羊にもインフルエンザは発生します。
ウイルスは突然変異を起こすことが多く、いつ新型のインフルエンザが発生するか予測がつきません。
日本では、動物の感染症に関して、関係省庁や専門機関による調査やサーベイランス(監視)活動が日々行われています。
私たちも、予防接種、うがい、手洗い等に加えて、野生動物との不要な接触を避ける、肉類は十分に加熱調理するといった心がまえで、大切な家族の健康を守りたいですね。

 

(注7)家畜伝染病予防法により定められた、特定の家畜の伝染性疾病。