日本で毎年、夏のインフルエンザ流行が続いているのは沖縄県ですが、それ以外の都道府県にもシーズンオフの流行が広がっています。
たとえば、2017年5月中旬の時点で、沖縄、新潟、熊本の3県がインフルエンザ警報レベル。
他にもインフルエンザ注意報レベルの都道府県は6ヵ所もあり、北海道から九州まで広く分布しています(注1)。

 

夏のインフルエンザ流行のワケとしては、いくつかの要因が考えられています。
その1つは「北半球と南半球の違い」。
日本を含む北半球では、11月ころから2月ころまでが冬期ですが、そのころ南半球は夏期にあたります。
逆に北半球の夏期は、南半球では冬期にあたります。
北半球と南半球では季節が逆なので、地球全体で見ると1年中インフルエンザのリスクがあるということなんですね。

 

日本では夏でも、そのころ冬を迎える南半球ではインフルエンザの流行期に入ります。たとえば、南半球のオーストラリアやニュージーランドでは、例年6月過ぎ頃からインフルエンザが流行を始めますし、南米の熱帯地域やアフリカの一部地域も同様です。
また、東南アジアや東アジアでは、1年を通してインフルエンザが流行している国が珍しくありません。
グローバル化で外国人観光客やビジネス客が急増している現代は、それらの国や地域で感染した人が来日して感染が広がるケースが少なくないと考えられています。

 

(注1) 国立感染症研究所 2017年第18週(5/10現在)のインフルエンザ発生状況より

 

 

以下リンク先の『厚生労働省検疫所』から、世界の感染症情報が検索できますので、渡航の際はよく調べてくださいね。
厚生労働省検疫所 FORTH 海外で健康に過ごすために

 

2017年6月8日 WHOから公表された中国の鳥インフルエンザ(H7N9)最新情報

国内の観光地では夏でもマスクをしよう

 

夏のインフルエンザ流行の多い沖縄県では、2016年の年間入域観光客のうち、外国人観光客は前年比38.7%増の約208万人と全体の4分の1を占め、年々増加を続けています。
特に沖縄と直行便が就航している東アジアからの旅行客は約8割にのぼり、その内訳を見ると、インフルエンザが通年で流行している台湾などからの観光客が増加しています(注2)。
沖縄で夏の流行が始まった2005年頃は、ちょうど東アジアからの旅行客が増え始めた時期と一致していて、沖縄と台湾で検出されたウイルスが疫学的に同じタイプという報告もあります(注3)。
沖縄においては、外国人観光客の増加が、夏のインフルエンザの流行に影響を与えているといえそうです。
もちろん沖縄はリゾート地として国内の旅行客にも人気が高く、特に夏のシーズンに訪れる人が多いのも一因と考えられます。

 

(注2) 沖縄タイムス(2017年1月21日)より
(注3) 第28回日本環境感染学会総会報告より